本文へスキップ

RollsRoyce Bentley Specialist

株式会社シーザートレーディング
TEL.
042-480-2222 (
営業時間10:00~20:00)
東京都調布市西つつじヶ丘1-58-12

ROLLSROYCEHEADLINE

SILVER WRAITH

  MAKER ROLLSROYCE 
  MODEL  

SILVER WRAITH



By:「JamesYoung」



  YEAR 1955'
  EXTERIOR


TUDOR GRAY met


(チューダーグレイ)メタリック




 


TAN-Leather



(タン・レザー)





 
   


不明



 



ASK 



 



本国仕様 右ハンドル 







国内: 2017年 登録後 2オーナー





直列6気筒 4566cc



4速コラムAT




スペック:「必要にして十分」






全長:544cm



全幅:198cm



全高:174cm




車重:2250kg



定員:6人








装備:







・「4速コラムAT」*オプション




・クーラー



・電動ガラス・パーテーション



・ピクニックテーブル付きキャビネット



・収納式フットレスト



・バッジバー




後付け:




・バックカメラ



・「ETC車載器」







外装:仕上げ済み



内装:お写真の通り  経年美化



機関:整備済み




車検: 2024年 10月24日まで





 
  COMMENT




「シルバー・レイス」




コーチビルド By:「JAMESYOUNG」










解説:




1946年から1959年の間に生産された「シルバーレイス」



このモデルは、唯一、戦前の流れを組み、ボディは、全て社外の「コーチビルダー」に



より作られる。




当個体は、名門「ジェームスヤング」の「シルバーレイス」における代表作。




戦前、1938年~僅か1年ほどしか(戦争勃発のため)生産されなかった幻の名車



「レイス」の後継モデル。



1959年発売の「ファンタム5」にバトンを渡すまで、




・ショートホイールベース:「1244台」




・ロングホイールベース : 「639台」




が生産(オーダー)された。




コーチビルドに参加できた会社は、全「32社」(別途・不明が2台)。



その内、上位 5社が、その大半を生産(オーダー)している。









内訳:           「ショート」  「ロング」
  





1位:「HJマリナー」     335台    182台



2位:「パークウォード」    313台    164台



3位:「HOOPER」       323台    146台



4位:「ジェームスヤング」   105台    100台



5位:「フリーストン&ウェッブ」 81台     39台








この5社だけで「ショート」:「1157」台 *全体の 93%



       「ロング」 : 「631」台 *全体の 98.7%





ボディデザインは、各社共に、毎年のように新作を発表していたので、数えきれないほど



のカタチがある。2ドア・クーペからオープンカーまであるが、その数は少なく、



多くのオーナーは、「ファンタム」の替わりとしてオーダーしたので、リムジンタイプの



デザインが多い。



とはいえ、ロングホイールをもってしても、全長は、543cmほど(デザインにより若干



の誤差)、これ、のちの「96年以降SZ系ロング」の「541cm」とさほど変わりなし。



ショートでは、523cmほど、これ、「シャドウ」とさほど変わりなし。




とても巨大に見えるのは、その巨大グリルと、車高、当個体では、「174cm」、これ



「ファンタム6」の「173cm」より高い、ってか同等。




元々、先の「レイス」は、「ベビィファンタム」と呼ばれた「25/30」の後継モデル、



で、当「シルバーレイス」も、「ベィファンタム」の最後の末裔なのである。





機関的には、大きく分類して、3種




・46年~   :4257cc



・51年~   :4566cc



・55年~59年 :4887cc




もっとも劇的な改良は、1952年よりオプション採用された「4速コラムAT」



それ以前は、全て「MT」、51年に排気量をあげ、パワーUPしたのは、この「AT」に



対応するため。





余談ながら、「シルバーレイス」を日本で新車で購入できたのは、3名だけ。





・1948年:「GOUGHインダストリー」:「ジェームスヤング」のロング



・1953年:「英国大使館」      :「HJマリナー」のロング



・1957年:「宮内庁」=「陛下のレイス」:「HOOPER」のロング




この陛下のレイスは、現在も皇居内「車馬課」の2階に保管されている。



30年ほど前までは、弊社専属職人「元・陛下のメカニック」が定期的に整備し、いつでも



乗れる 状態にしてあったが、現在は、おそらく放置。




それにしても、「レイス」(幽霊)と名がつくモデルが、4種も って、、



戦前の「レイス」、当「シルバーレイス」、シャドウUのロングも「シルバーレイスU」



現行のクーペも「レイス」、、











さて、今回は、当モデルの解説に的を絞ろう。





デザインナンバー:「WRM31A」:生産台数:「42台」



パーテーションなしモデルが「7台」、トータルだと「49台」



ロングホイールのためのデザインであるから、上記「100台」中の「49台」が、この



デザイン。



1955年~58年の間に販売されたもの。



さらに、53年より販売されていた、当個体の前身「WRM30」(リア・テールと



サイドのデザインが僅かに違うだけ)モデルは、「28台」オーダーありで、



仲間とするなら、計:「77台」、、これで、当デザインが、「ジェームスヤング」の



「シルバーレイス」における「代表作」というのがご理解頂けよう。



この ボディと一体化したヘッドライト・デザインは、当時としては斬新で、のちの



「クラウド1」でもパクられることになる。





当時は、オーナーが、あらゆるコーチビルダーの作品を比較して、好きなものをオーダー



する。で、注文されてから生産が始まる。つまりは、人気投票。



前述の5社で ほぼ人気を独占したわけだ。









では、当個体の お話:






1955年モデル 本国仕様 右ハンドル




新車時は、英国にデリバリーされ、2017年、日本に移住してきた。のち、2オーナー。



もち、ハンドビルドの総アルミボディ。



神業である。




「シルバーレイス」というモデル、そのサイズから、実用車として、まだまだ世界中で



活躍している。




当個体も、「乗って楽しむ」仕様で、機関系には、随分 手が入っている様子が、



エンジンルームをのぞき込むだけでも理解できる。



で、ぜっこうちょーー








外装は、




当然ながら、すでに現代のウレタン塗料で、オールペイントされていたが、各所に



クラックが残っていたので、当社塗装ファクトリーで、ほぼほぼオールペイント、



これで、塗装は問題なし。




「チューダーグレイ」というカラー名は、ロールス純正色で、もっとも近い と思うので



勝手に命名。




「ジェームスヤング」特有のドアノブや四角いボタン、、他コーチビルドものでも



似たようなデザインはあるが、ここだけで「ジェームスヤング」作品と判別できる。




それにしても、この凹凸デザインを1枚のアルミ板を繋ぎ合わせて作っていく という



のは気が遠くなる。



当個体では、トランクのエッジと曲面で構成されるデザインが、如何にも「ジェームス



ヤング」。この得意デザインは、最終仕事とも言える「ファンタム5」でも引き継がれる







オプションの「バッジバー」には、5つの「バッジ」が、



コンディションからみても、新車時からのものではなかろうが、、いちよ



向かって、左から




・「スウェーデン・ロイヤルオートモービル クラブ」



・「英国歯科医組合」



・「スウェーデン・ヴィンテージカークラブ」



・「ロールスロイス・エンスージャストクラブ」



・「AA」=「英国自動車協会」




リアウインドに貼ってあるステッカー:左:「スウェーデン国王ラリー」



右:「ロータリークラブ」




これで、現地最終のオーナー様は、スウェーデンのクラシックカー好き歯医者さんと推測



できる。




「シルバーレイス」で最後の採用となった「ニーリングレディ」のマスコットは、



マニアには堪らない品。










内装は、




「タン」レザー。




おそらくは、30年ほど前に、一度レストアされた当時もの。



革自体には、まだまだ弾力もあり、この先もいけるが、が、ひび割れや劣化のある箇所が




・運転席 背もたれ部 右下には、1.5cmほどのL字キレがある。



内装は 当社では手を付けていないので、もう少しキレイにキズ補修リペアすることも



できる  が、写真撮っちゃったので、一旦 このまま すっぴん姿で。



・運転席の座面部は問題なしで、替わりに、助手席の座面部に劣化がある。



が、ひび割れで革が切れてるわけではないので、一旦、このままで。



背もたれ部は問題なし。




・リアシートの座面前方部にも劣化が、一旦 このままで。



背もたれ部は左右ともに問題なし。



気になるとしたら、上記、3ケ所である。



仮に、リペアするなら、各所、その部位だけの革を張り替えるのが安価ですむし、



そのやり方で正解。




が、現在は、経年美化の風情を楽しむ というのが世界の趣味人の流れ。



このまま乗る で好い。 因みに販売価格は、「このまま価格」。






電動ガラスパーテーションは、センターの丸いスイッチを押す(上げるのと下がるの)



だけ。ほぼ音もなく開閉する。これは、ジェームスヤングの技術力の見せ場。




ピクニックテーブル付きキャビネットも豪華豪華。



しかも、この時代のはタダものじゃないウッド、、



天然ものの「バー・ウォールナット」であろうから、こぶ目の細かさ、杢目の芸術性が



ハンパなし。キャビネットは、中心から左右均等模様となるブックマッチ製法。



ピクニックテーブルの杢は、一番の見もので、表は、左右均等ブックマッチ模様 で、



開くと、1枚張り、、自然杢が織りなす一服の絵画。




これを観れるのが「キャビネット」の意味。



開いた底には、右に、変なカタチのガラスボトルが、2個と「スキットル」が2個。



左には、グラス、、と、この品々は、オリジナル物じゃないので、割愛。オマケ。



全体にウッドクラックが発生しているが、このレベルのものは、レストアなどしない方が



風情がある。





フロントのパネルも素晴らしきかな。



現代とは逆回転のスピードメーターもいいよ~




「クーラー」の風は、後部からしかでない(リムジンですから)が、パーテーションを



下げて入ればフロントまで十分に冷える 優れモノ。



「ゴリラ」モニターは、「バックカメラ連動」のみに使用。




当時のオリジナル「ラジオ」を残す。



「オーディオ」は付いていない。 もち、増設もわけない。






エンジンは、中期型「直列6気筒」「4566cc」




これを「ベントレー」に載せるたモデルが「サイレント・スポーツカー」と呼ばれた。



うちに住んでる「55’Rタイプ・コンチネンタル」のエンジンルームと同じ風景。




当初は、不評の「ストロンバーグ」キャブであったが、この時代ものは、「ゼニス」



キャブ(シングル)に。






走ってみた:





「4速コラムAT」、GM特許の自社生産ライセンス、ロールスロイス製作ものなので、



やたらと頑丈。 



このATに「パーキングレンジ」はなし。



保管中は、バックギアに入れておくとよい。




エンジンは、「N」ニュートラルレンジでかける。




アクセルを2度ほど踏み込み、スターターボタンを押す。




キュルキュルくらいで一発始動。




「オートチョーク」、暖まるまで回転は上がってまま。 暖かい時期なら、1分ほど、



寒い時期なら、3分ほどか、、暖気してから、アクセルを踏みこむ。この時、すでに



暖まっているなら、アイドリングは適正回転数に落ちる。まだ、早い なら、回転は落



ちない。 なので、分かりやすい。車が教えてくれる。





馴れないうちは、「4速」のみで走っても構わないが、できれば(ポテンシャルを知る)



出だしは「3速」で、スピードに乗ってから「4速」にシフトUP、停まるときは、逆に



「3速」に落としてエンジンブレーキを使う。




そうすれば、あっけないほどに普通~に乗れる。 トルクは十分、速い速い。




この時代、「オモステ」、パワステがあると、こういう背の高い車は、走行中、フラフラ



して怖い から、なくて正解。



重さも、走行中は感じず、よほどの切り返しを要すような車庫入れ時等なら、重さを感じ



るだろうが、細っそい16インチ、7.50タイヤに、車重:2250kg、それって、例えば



「シャドウ2」より、50kg思いだけ、普通の方なら重さで困ることもあるまい。





その走りは、滑らか、、静か、、楽しいっ、、まさに「幽霊」のごとき走り。



↓走行写真時は、30度超えのときだったから、最初から、「電動ファン」(直結スイッチ



ある)を回しておいた。すると、水温は適性のまま。 さすが、エンジンルーム、スカス



カの直6、V8の水温上昇とは比べ物にならない。




安心して乗れるクラシックカーとしても筆頭であろう。







総評:





「シルバーレイス」は名車である。




最後の「全てコーチビルドモデル」





「ジェームスヤング」作品を最も安価に入手できる1台。これ 最大の魅力かも。




英国コーチビルダーの「四天王」だもの。




ぜひっ 当時の職人の魂に触れてほしい。






「一時預かり人」募集〜!










まずは、お写真、怒涛の「147枚」を ご参考に↓